ネット証券の結びつき
本を一冊読むのを諦め、与えられた範囲だけ読むようにすれば著者のいいたいことはかなりわかるし、十分な知識が得られることがわかった。
帰国してからは、日本語の本についても、目次を読んで、面白そうなところ、役に立ちそうなところだけを飛ばし読みしないで読むようにしたところ、情報収集量や、参考文献の数を飛躍的に増やすことができるようになった。
一冊の本をどれだけ理解できているかわからない形で速読するより、一部分でも大事なところを熟読するほうが、知識として頭に残るものが大きいと私は信じている。
ある程度理解したジャンルについては、いろいろな著者の本の必要箇所だけをつまみ食い的に読んだほうが、知識の幅が広がるし、多くの推論パターンにも接することができるのである(もちろん、まだ理解が十分でないジャンルについては危険なのでやめたほうがよいだろう)。
私は国語の落ちこぼれだった本書の読者の中には、資格試験の受験を目指す人以外では、頭がよくなりたい、仕事ができるようになりたいという動機の人も少なくないだろう。
頭がよいという場合、本書で紹介したような認知心理学的な意味の頭のよさより、すばらしいレポートを書く人や、ディベートやプレゼンテーションの上手な人になるというイメージのほうが強いのではないだろうか?そして、この手の能力は、かなりこれまでの教育や読書量、生まれつきの才能などに規定されるものなので、なかなか自分にはまねができないと考えている人も少なくないだろう。
実際のところ、レポートや論文の達人、あるいはプレゼンテーションの名人と感じさせる人もいないわけではないが、そう多いわけではない。
しかし、上司や周囲の人間からみて仕事ができると思われるレベルの文章を書いたり、プレゼンテーションができるようになるのは、そう難しいことではない。
文章がうまくなるいちばん手っ取り早い方法は、型にはまった文章をたくさん書くことである。
型にはまった文章はつまらないと思うかもしれないが、これ以外の方法で、人にわかりやすい文書を作成するのは意外に難しい。
また、それ以外のトレーニング法はほとんどない。
実際のところ、小説を書いているわけではないので、文章のスタイルにこだわることにもあまり意味がない。
外国の大学に留学してきた人たちに聞く限り、日本の国語教育と英米圏の国語教育との最大の差は、文章の読み書きのトレーニングであるという。
日本の国語教育では、小説文などの心情読解に重点がおかれ、自分の心情を情緒的に伝える文章が喜ばれるが、英米圏では、論説文を読むことが基本とされ、型にはまったレポートを書く教育を徹底されるとのことだ。
これが伝統的なものなのか、それともレポートが書けない大学生が激増した際に取り入れられたメソッドなのかは知らないが、現在の日本の大学生たちのレポート能力をみる限り見習うべき点は多い。
実は、私は日本の高校の国語教育の中では、落ちこぼれだった。
T大受験の際の国語の目標点は八〇点満点の四点、つまり漢字だけで点をとろうというくらいで、数学と理科に頼ってT大の理科Ⅱ類を受験した(これは非現実的な話ではない。
当時から四四〇点満点で二九〇点あれば合格できたのだから)。
実際、T大型の模試では国語が一一点ということもあったのだ。
しかし、現在、手前味噌でおこがましいが、文章がうまいといわれることはめったにないが、わかりやすい、論旨が明快だという評価をいただくことは珍しくない。
少なくとも国語の成績が高校三年生になってもそんなにひどかったとはなかなか信じてもらえない。
これはひとえに国語ができない分、わかりやすい、論旨のはっきりした文を書くことを心がけてきたからであろう。
型にはまった文であると、自分のいいたいことを前面に出さないといけないので、論理の整理にもなるし、補強説明を書く際に、必要なことを調べたり、文献を集めたりする習慣もつく。
そして書いているうちにどんどんソフィスティケートされていくものなのだ。
ここでいう型にはまった文というのは、最初に問題提起をし、次の段落ではその問題提起に対する自分の意見を述べる。
問題提起の形であれば、その答えを書くし、YES、NOを問う文章であれば、その立場をはっきりさせる。
その次の段落では、第二段で述べた意見の補強説明を行う。
自分の知識や参考文献からの引用はここに載せる。
最後に、それまでに述べたことをまとめて、明快で簡潔な結論を述べるという形式の文章である。
字数にすれば八〇〇字くらいを目安にするとよいが、慣れるまでは字数にこだわる必要はない。
ふつう文章を書く際にはこれらのことを意識しないことが多い。
しかしそうすると、文章がのんべんだらりとしたものになりがちである。
報告書などを書く際には、言い古されているようだが、5WIH(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)をなるべく書き揃えるようにしたい。
このようなことを意識しながら、文章をなるべく多く書いていると、いつのまにか、人からみると読みやすい文章になるし、それ以上に書くのがおっくうでなくなる。
羞麗な文章を目指していると、結局、文章を書くのを尻込みすることになって、いつまでたってもろくに書けるようにならない。
もう一つ、あまり指摘されないが大切なポイントは、必ず文章にタイトルをつけるくせをつけることだ。
タイトルは、仮のものでよいので、文章を書き始める前に決めておくほうがよい。
タイトルを意識したほうが、書いていく時の論旨が明確になる。
書き終えたところで、そのタイトルが適切であるか再検討するが、それにより、自分の文章の論旨が明確かどうかのモニターができる。
まず型を押さえるのがポイントであるとわかれば、トレーニングに最適なのは大学受験用の小論文のテキストである。
受験のプロが書いたものは、大人向けのハイレベルな文章読本などより、はるかに実用的だし、親切である。
何でもよいので、立ち読みをして自分が気に入ったものを買うのがいちばんだ。
当たり前すぎるようだが、文章はパソコンかワープロを使って書くことだ。
実際、パソコンを買うのは、文章作成とインターネットのためだけでも十分な投資価値があるくらいだ。
これは文章のスタイルを自由に変えられて、きれいにみせる効果があるだけでなく、いくらでも書き換えがきくことで、文書を作るのがおっくうでなくなるという効果もある。
私自身、本書のような文章を書く際に、途中で思い浮かんだことがあれば自由に挿入し、順序を入れ替えたほうがわかりやすいと思えばすぐに、切り取り貼りつけを頻繁に行っている。
仕事上のレベルでの文書のうまい下手はほとんどの場合は慣れが規定するのだ。
プレゼンテーションや面接の技術についても簡単に触れておこう。
プレゼンテーションの原則も文章作成と同じである。
基本的には、型にはまったプレゼンテーションの練習を繰り返すことだ。
まず先に問題提起をするか、いきなり結論を述べるかして、次に背景情報や解説を述べる。
最後に結論を話せばよい。
意外に簡単なことなのだが、実際に練習してみる人は少ないようだ。
ちょっと練習してみるだけではるかに人への説得力が増す。
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